2013-01-01から1年間の記事一覧

現実描写について

アウエルバッハの『ミメーシス』を読んでいて考えることは、現実描写と合わせて現実認識の問題である。例えば、第19章で挙げられているゴングール兄弟とゾラとの違いについて、身分の高いゴングール兄弟は下層民をキッチュとして取扱い、それほど高い身分で…

異化効果の照らすもの

1.ふたつの異化 文学上での効果として、異化という手法がある。それは、日常的に慣れ親しんでいるものを、例えば宇宙人の目から見た人間を描写するときのように、対象を奇妙なもの、滑稽なもの、非日常的なものに変容さてしまう手法を指す。ヴィクトル・シク…